第49回 世界の食と日本【総括 – ドイツ】

竹井塾塾長 竹井 秀文

第46~48回の『竹井塾』で、「世界の食と日本-ドイツ編」を3回に分けて連載しました。その中で、ドイツのおふくろの味や、クラインガルテンなど、様々なことを知る機会を得ることができ、大変価値ある座談会となりました。

第46回『竹井塾』では、ドイツでは食への関心がそれほどでもなく、単調な料理も多い。さらに昼食をしっかり食べるという食スタイルだと聞いて、日本とはまるで食生活のリズムが違うのだと感じました。ただ最近は、夕食をメインにする家庭が増えつつあるそうです。

またドイツの「おふくろの味」のひとつにパンがあり、各家庭で手作りしたり、町の手作りパン店も含めると、その種類は1500種類以上あると言われていますが、近年は工場で作られる大型店の影響で、町のパン店や各家庭の「味」が消えつつある(第47回『竹井塾』参照)ことも、日本と同様に食スタイルの変化が、世界中で起きているのかもしれません。

第48回『竹井塾』の中では、献立について議論が出来ましたが、子どもの頃、よく母が「今日はなんばしようかね~」と言って、献立に困っている姿を思い出しました。また、マイヤーさんが「子どもたちが料理を学べば、食への関心が変わるのでは」と提起してくれましたが、今後の『竹井塾』の方向性の一つとして、この点を重点的に考えていくことも大切ではないかと思っています。

そしてドイツで200年以上の歴史がある「クラインガルテン」という滞在型市民農園の話は、とても参考になりました。子どもたちが作物を育て、食事も作るという、『竹井塾』が目指そうとしている好例です。

トマト嫌いな子どもが、「自分が作ったトマトは美味しいね」って食べる姿をみて、その学びは一面的・表面的なものではなく、多くの時間や苦労が加味されて成立しているのではないかと考えています。ですから私達が食べるものは、すべて手間暇をかけ、長い時を経ていることを、体験しながら学ぶことが重要だと思うのです。

そう考えるとクラインガルテンは、学びを具現化する方法として最適かもしれません。そこには、「食材をつくる」「食事をつくる」「自分をつくる」など、様々な「○○をつくる」が存在し、まさしく「学びの場として」という『竹井塾』ならではの食への思いに通じていきます。

前回のフィリピン編に続き、ドイツ編の座談会を経て、子どもの頃から感じ取れるような場(=食の記憶の大切さ)を、『竹井塾』としてどのように作り上げていくのか、さらに深い議論が必要になってきました。

【座談会総括】

竹井 秀文

「おふくろの味」は、誰の心の中にもあるけん、大切にしていきたかね~。「おふくろの味」を守れる人になりたかね~。
「クラインガルテン」みたいなシステムを、日本でもばさらかつくってから、自分をつくれる人ば育てていかないかんばい。

竹井塾 塾長 竹井 秀文