第99回 夜明け③

一般社団法人エルフ設立メンバー

  • 八木眞澄(代表理事)
  • 内野 祐(筆頭副会長)
  • 米田安利(副会長)
  • 渡邉達生(八洲学園大学教授)
  • 竹井秀文(竹井塾塾長)
  • 松尾博史(㈱洛慈社代表取締役)

「竹井塾」を発展させ、「『食の学び場』づくり」を目指して設立された一般社団法人エルフ。設立後の経緯をメンバーのやりとりを交えてたどる。

(食品ジャーナリスト 内田正幸)

見えてきた「事業の姿」・トライアングル事業

内田-

会社案内が出来上がり、次にホームページの作成に取り掛かっているとお聞きしましたが…。

松尾-

そうなのですが、ホームページでは見せ方を工夫しないとなりません。会社案内では4つのテーマをイラストで表現し、絵本風に仕上げましたが、ホームページではどのように見せるのか、現在でもメンバーで悩んでいるところです。

八木-

特に前回お話した、トライアングル事業をどう表現するか。それにいろいろな情報を公開していくブログの内容を、どのように盛り込むのかの2点ですね。

内田-

その“トライアングル事業”ですが、いまできる事業として率先して取り組まれるようですが、まず、ここに辿りついたきっかけを教えてください。

松尾-

知り合いのNPO職員と話をしていたところ、古本などの買取り業者で「本棚お助け隊」を展開する会社があるので、いろいろ相談してみたらとアドバイスを受けました。

内田-

古本を買い取るだけなのですか。

内野-

いえ、古本だけではなく、CDやDVD、おもちゃなども買い取ってくれますが、ただ単に買い取るという訳ではありません。エルフの活動に賛同していただいた人が、使わなくなったモノ、読み終えた本を「本棚お助け隊」に送付し、これを査定・買取りしてもらって、その売り上げの一部をエルフに戻してもらう仕組みになります。
物品の寄付は大変助かりますが、エルフ自身が、どこかに持ち込んで換金しなければなりませんし、そのような人員を割かなくてはなりません。それを「本棚お助け隊」を展開する会社と提携することで、お互いに助け合うことができます。
構図としては、エルフの活動に賛同してくれる人が本などを寄付→「本棚お助け隊」が査定・買取り→その一部がエルフへの寄付金に→それを元手に「食を学ぶための出版事業」を展開となり、寄付されたものが活かされると同時に可視化できる仕組みです。

八木-

この会社の社長と話をして、「そうか!」と思いました。エルフの事業項目の一つである出版事業を自分達だけで終わるのではなく、エルフを支援してくださる人達に対しても、「こういう内容の本は大事だよね」と言われるような出版物を目指すことで、それぞれが関わり合いをもてるようになると思いました。

渡邉-

「ふるさと納税」では納税額に応じて返礼品が送られますが、エルフはモノでお返しする予定はありません。寄付者には寄付を通して事業に参加していただき、「食の学び場」づくりに関わっているという意識を高めてもらう、これを目指しています。

内田-

返礼品のようなリターンはないものの、寄付して終わりではない、と…

米田-

そういうことです。寄付することは「知る機会」につながります。寄付者がそれで何かを感じ、「食の学び場」づくりのアクションへとつながることを願っています。

内田-

となると、エルフはその推進役という位置づけですね。

内野-

前回お話しした、エルフを推進役にして、例えば生産者と消費者、その間に位置する関係者の3点をトライアングルのようにつなげ、情報などの共有化と循環を図ることも同じです。関係者というのは具体的には料理店などです。営んでいる人たちは産地をはじめとして食のプロです。その知恵を拝借しつつ、生産者との出会いを通してモノと情報の循環づくりを展開する予定です。

渡邉-

詳細は控えますが、その総体が「食の学び場」となる予定です。トライアングル事業は、「食の学び場」づくりの企画提案と実施の一つとして、これから準備段階から実施へと進んでいくことになり、明確になった段階で、随時ホームページに掲載していく予定です。

竹井-

このモデルケースがうまく循環すれば、国内における食関係の他のムーブメント、例えば「こども食堂」との連携も視野に入ってきそうです。それがいずれトライアングルではなく、いろいろな人が参加して円(サークル)になり、そして球体となっていくのではないでしょうか。

八木-

このトライアングル事業の仕組みは国内だけではなく、海外との関係にも援用できますので、グローカルな視点をもって活動をしていこうと思っています。

内田-

ブログやその他の企画については、どのような内容か少しお話いただけますか。

内野-

現在、日本全国で興味深い活動をしている人を対象に、生産者(地)クローズアップという企画を考えています。また日本各地には、和菓子店があります。和菓子の魅力を伝えることで、いろいろな面が見えてくることがわかりましたので、それも順次掲載できるよう準備を進めています。

八木-

私はフィリピンに「ヤギ学園」という教育機関をもっていますので、そこの子ども達に「理想の食卓像」を描いてもらい、絵画コンクールと題して、ホームページ上で見てもらいたいと考えています。フィリピンの子ども達がどのような絵を描くのかを見てもらうことを通して、その国の子どもたちの食事情を知ってもらうことも、トライアングル事業として大事なことだと思っています。


次回、いよいよ活動開始の時が来た!