第97回 夜明け①
一般社団法人エルフ設立メンバー
- 八木眞澄(代表理事)
- 内野 祐(筆頭副会長)
- 米田安利(副会長)
- 渡邉達生(八洲学園大学教授)
- 竹井秀文(竹井塾塾長)
- 松尾博史(㈱洛慈社代表取締役)
「竹井塾」を発展させ、「『食の学び場』づくり」を目指して設立された一般社団法人エルフ。今回からは設立後の経緯をメンバーのやりとりを交えてたどる。
一難去ってまた一難
内野さんの離脱宣言があったものの、しばしの休養期間を設けて復活したことで、その後は順調だったのですね。
まず事務所ついては、松尾さんからの提案を受けて、洛慈社の事務所の一部を間借りすることにしました。
そうですね。何事にも最初は物入りなことが多いですから。FAXは共有で、電話とドメイン(elf.or.jp)だけは新規に取得することを提案しました。
この活動の出発点は「竹井塾」ですから、とても良い環境だと思いました。またドメインについても、すでに他で取得済みだと思っていたところ、会議の報告で「取得できた」と聞いた時は驚きましたね。短くていいですよ。
これで事務的なことが整いましたので、あとは銀行の口座開設が済めば「準備万端整った」と言えるところまで来たのですが…
えっ、何かあったのですか?
銀行の口座開設のことです。特にA行は全く相手にされませんでした。これには驚きを通り越し呆れてしまいましたね。とにかく最初から口座を開かせたくない、という感じが見え見えでした。また一般社団法人が、どのような組織であるかでさえ理解していないような質問には、自分の耳を疑いましたよ。エルフの創設に関わってくれた行政書士にも問い合わせたところ、ここ1~2年は「他の新規法人でも同じようなことが起きていて、困ったものです」という話でした。
私も一緒にこれを聞いていて、これが今の銀行なのか、と茫然としました。
例えば、「個人会員と賛助会員の寄付金の入金で口座を使用する」旨を伝えると、「賛助会員って何ですか、どういう漢字ですか」とまで聞かれる始末でした。折衝にはホトホト苦労しました。
で、結局、開設できなかったのですか?
今度はB行に行きましたが、まずはインターネットで申し込んでほしいと言われました。それで書類審査しますと。せっかく店舗に行ったのに二度手間だな~と思いましたが、とりあえず申し込みをし、1週間ぐらいで連絡するとのことでしたが、まるで連絡がきません。2週間が過ぎてようやく連絡がきて、書類審査がOKになりましたので、ご来行くださいと。
そこで私と松尾さんでB行に伺いましたが、書類審査がOKになっているのにも関わらず、何やらチグハグなことが多かったですよ。まあ、それでも無事に銀行の口座が開けましたし、そのあとすぐに郵便局に行きましたが、こちらは対応が良かったですね。一般社団法人のことや賛助会員についても、ちゃんと理解されていました。
法律の改正で、一般社団法人の設立は以前より容易になりましたが、銀行口座の開設には手間取るし、スンナリと受け入れられないという実態は、これから一般社団法人の設立を考えている人たちは知っておくべきでしょうね。
どこの銀行でも簡単に法人口座を開設できると思っている人も多いようです。しかし注意が必要です。銀行にとって一番困るのは、法人口座を開設したことでトラブルに巻き込まれたり、その口座が犯罪などに利用されることのようです。それがために、都市銀行では口座開設を断られる確率が高いようです。これに比べて、「地域企業と密接な関係を」と考えている地方銀行や信用金庫などは、都市銀行に比べ、相談に乗ってくれるケースが多いので、そちらを検討することも大事かもしれません。
他にも設立後に重要な点はありましたか。
設立した後に、早めに都税事務所(東京23区の場合)に設立届を提出しなくてはなりません。またエルフは、非営利型法人を選択しているので税務署には届出の必要がありませんが、収益事業を行う場合は、すぐに届出書類の提出が必要です。こういうことは誰も教えてくれないので、注意が必要です。
事務的なことは、私などはチンプンカンプンで、松尾さんがすべてを担ってくれました。途中で「銀行の口座開設には、まいった!」とボヤキが入るほどでしたから、あらためて「ご苦労様でした!」と言いたいです。
口座開設の他にも、事務的作業では必要書類の会員規則や総会規則、また内規として理事会内規や事務局内規などを作成しなくてはならないようですが、専従がいないために、これには時間がかかってしまいました。
こうした事務手続きと並行して進められたのが、会社案内やホームページの作成です。また事業を進める上でのメインテーマの決定でも議論がアッチコッチと。
設立前夜から設立後も、いろいろ大変なことが多かったようですね。
その通りで、一難去ってまた一難でしたが、良い経験でした。
新たに進める道は、みんなで切り開いていく、ということでしょうね。
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次回は、会社案内作成で二転三転