第22回 学校給食を考える

参加者

  • 竹井 秀文(名古屋市立公立小学校 教諭/竹井塾塾長)
  • 藤原 涼子(仮名・公立小学校 栄養教諭)
  • 岡澤 京子(仮名・公立小学校 栄養教諭)
  • 西秋 勇一(仮名・特別支援学校教諭)
  • 菅谷 朝香(仮名・特別支援学校教諭)
  • 内田 正幸(食品ジャーナリスト)

「お膳立て」をめぐって③

内田-

家庭と学校の関係から「お膳立てし過ぎ」という指摘もある学校給食ですが、それとは異なった文脈で学校給食への期待も高まっています。食文化の継承がそれです。新潟大学教授で日本食文化観光推進機構理事長の田村秀さんは「朝日新聞」(2017年10月2日付)で、“ご当地の宝に磨きをかけて”のタイトルで、「食の中央集権的な動きともいうべき全国チエーン店の店舗の勢いは、ご当地の味を席巻しかねない」と警鐘を鳴らすとともに、給食の意義についてこう述べています。「ご当地の味を守るためには食育の取り組みも欠かせない。郷土料理を提供したり、ご当地の食材を積極的に活用したりなど、給食の意義はこれまで以上に大きなものとなる」と。欠食児童対策から始まった学校給食ですが、新たな役割も担わなければならないようです。

西秋-

食文化には食事の作法を学ぶことも含まれるでしょうね。ご飯は左に置き、汁物は右。肘をつかない、お椀は手に持ってというように、ご飯の食べ方を学ぶことも食文化の継承につながり、日本人のアイデンティティーを形成する一助にもなります。ですから、勤務する学校ではメニューが豊富か否かではなく、作法を含めた食文化を学ぶものとして給食指導を捉えています。

竹井-

子どもたちと一緒に食事をする給食は教材です。ところが若い先生たちは、何も思わずにただ食べさせるだけ。よく考えれば自分もその地域で働いているわけですから、給食の時間は地域に根付いた食べ物を知るチャンスになり、おそらく郷土食を知らない子どもたちに伝えることもできます。“給食も指導のうち”とはよく言われますが、残食を減らすだけではなく、先生たちが教材としてどこまで給食の時間を活用しているのかが疑問です。

岡澤-

私が働いている学校では郷土食とでも言うのでしょうか、地域で食べられているメニューを取り入れています。都市部ということもあって大量になるために限界は伴いますが、食材も地域産の調達に努めています。

藤原-

地域食が子どもたちに浸透して、「今日は○○の日」と期待されているとは言えないかもしれません。クラスがいくつもあるので、栄養教諭だけでは伝えることに限界があります。担任の先生が「今日は○○の日だよ」と声掛けでもしてくれると子どもたちの印象に残るのでしょうが、それがないとスーッと消えて行ってしまうようです。

竹井-

知り学ぶためにも担任との協働が欠かせませんよね。

岡澤-

先生たちの力は大きいので、栄養教諭の伝えたいことを先生がフォローしてくださるだけでも、子どもたちに与える印象は格段と違ってくるでしょうね。

内田-

学校給食には「地産地消」も求められています。2011年に策定された第2次食育推進基本計画は、2015年までにその実施率目標を30%以上とするなどとしています。

藤原-

その目標に向けて調達していますが、岡澤さんが指摘したように都市部では質と量の確保が課題です。また、生産者も高齢化していているので、「ワシ、もう辞めるわ」となりかねません。勤務する学校は努力して地域産や国産でほぼ賄っていますが、価格はどうしても高くなるし、「今年は確保できません」と言われることもあるので、安定的に供給できるのか不安があります。

岡澤-

中国産野菜が農薬汚染で問題化したことがありますが、お母さんたちに「給食は地元の野菜で中国産は使っていません」と伝えると、「あー良かった」となります。国産や食の安全性には敏感ですね。

内田-

極論かもしれませんが、家庭では安さを優先して輸入食材なのに給食は国産指向。
ここでも逆転現象ですか…