第62回 世界の食と日本【総括 – アメリカ】

竹井塾塾長 竹井 秀文

第59~61回の『竹井塾』は、「世界の食と日本-アメリカ編」として、曹洞宗渓月山・長光寺の住職で、『食禅』の著者でもある柿沼さんにお話を伺いました。

第59回『竹井塾』では、そういえば当時アメリカで飲んだ味噌汁は「味噌溶き汁だったよね」と柿沼さんと内田さんが盛り上がっているのをみて、味噌汁以外にも出汁を使わずに日本料理ということでまかり通っていたとは、とても不思議でした。

ただ本物を知りたいという当時のアメリカの人々は、日本食の原点という出汁について真摯に向き合ったことから、おいしい日本食に出会えたのだと思いますし、自分自身も母親が出汁をとって味噌汁を作ってくれていたことで、出汁の大切さを幼少の頃から教えられていたのかもしれません。

第60回『竹井塾』で話題になったのはアメリカでの肥満のことでしたが、学生のころアメリカに留学した当初は、アメリカの食事に高揚した思い出があります。朝はコーヒーとパンケーキ、昼はコーラを飲みながら特大のハンバーガーとポテト、夜は牛肉料理を食べる毎日で、これぞアメリカの食という日々を満喫しました。

ただこれが数週間も過ぎると、なぜか筑前煮を食べたい、と日本食を欲している自分がいて、アメリカは食がダイナミックで、それに対して日本は食が繊細という、どちらが良いという訳ではなく、食文化の大きな違いに気が付いたことは大変良かったです。

第61回『竹井塾』では、昨今外国の人々に抹茶ブームがあるように、抹茶という文化を知ってもらうのは大変うれしいことですが、我々がその抹茶についてどこまで知っているのか、また数値化せずに本来の味や雰囲気をどうやって楽しむのかを問われているような気がしました。

またレシピは日常的に当たり前のようにありますが、それに縛られることで本来の「食」の大切さを見失っているという示唆に驚き、もっと日本食のことを知り、学ぶべきことがたくさんあると思いました。

とくに食材を前にして「どのような料理をつくることができるのか」という問い掛けに、いまの自分に果たしてそのようなことができるのだろうか、と振り返ったときに浮かんだのは、おふくろの味でした。

【博多弁の総括】

竹井 秀文

やっぱ、おいしか和食。
日本の食ば、大切せないかんばい。

竹井塾 塾長 竹井 秀文