第73回 世界の食と日本【総括 – 和食】

竹井塾塾長 竹井 秀文

第70~72回の『竹井塾』は、「世界の食と日本-和食」編として、東京・赤坂で四季和食『百菜』を営む、料理人でもある阿部さんに和食について教えていただきました。

第70回の『竹井塾』では、ユネスコ無形文化遺産に登録されても「和食の世界では何も変わることはない」という力強い言葉にふれ、毎日食べている私たちは、どれだけ和食のことを知っているのだろうか、また「簡単便利」「時短」という言葉に惑わされて、作ることや食べることについて、きちんと向き合っているのだろうか、と思いました。

というのも、現在の食の問題は、教育問題と通じるものがあるからです。子育てを「手間暇」かけずにやることには無理があり、家庭教育でも学校教育でも、大変な時間がかかります。食事を作ることや食べることと、子育てを並列にして語ることはできませんが、そういう機会を「簡単便利」「時短」ではなく、時間が掛かることを楽しむという気持ちで、何か変われることがあるかもしれません。

第71回の『竹井塾』では、カレーライスがおせち料理でも構わないのに、手作りでも注文おせちでも、お正月はおせち料理=和食、祝い膳も和食ではないでしょうかと問われ、「ハッ」としました。そして納得しながら忘れていたことに反省し、でも何か嬉しくなりました。

そして、おせち料理にこめられた様々な思い、食材を縁起や健康などに結び付け、生き方へとつなげていく日本人の感性に驚かされます。そういうことを後世に伝えることも大切にとらえ、これからも食を中心に、歴史や文化を一緒に伝えていきたいと思っています。

第72回の『竹井塾』では、和食を作るのに調味料も目分量でよく、肉じゃがだって立派な和食として、肩ひじ張らないで家庭の味を楽しむということを阿部さんから教わり、また近年レシピブームの中で、食材をみてから料理を考えることも大事だと、第59~61回『竹井塾』に登場の柿沼住職からお聞きしました。

簡単な和食であろうと、食卓を囲ってみんなで楽しんで食べること、そして一つひとつの食材や料理の仕方なども食卓で語りあえたら、家庭の中から食の大切さや意味などが、自然に身につくのだろう、と感じました。

おでんの大根をみた子どもが「あれ何でカドが斜めになっているの?」と興味をもったら、「面取り」のことを教えたり、料理や食材を通して楽しく勉強できる環境づくりも、これから必要になってくるのではないでしょうか。

家庭における食は、文化の継承にもつながります。1年間、外国籍の人々と話をしてみて、食における大切さを学びました。どの国の人々も、みんなで一緒に食べることを大事にしていて、食を伝えることは文化を伝えることだと教えてくれました。

これからの課題として「食の学び場づくり」ということをテーマに、伝え遺していけることを模索していく予定です。

【博多弁の総括】

竹井 秀文

すばらしか和食について、
みんなでよく考えていかないかんばい。

竹井塾 塾長 竹井 秀文