第78回 食と食育をめぐって【総括】

竹井塾塾長 竹井 秀文

第74~77回の『竹井塾』は、「食と食育を巡って」と題して、以前お話を伺った柿沼住職と、長年栄養士としてご活躍され、現在はフィリピンでヤギ学園を経営されている八木眞澄さんに、「食」とは何か、という論点で話を展開していただきました。

第74回の『竹井塾』では、食は信頼関係だという、このような単純なことを忘れかけていた自分自身に対して驚愕しました。私が専門としている道徳科でも、「信頼」というのは時間をかけて構築され、その間、一度も裏切ることのない人間関係として教えています。まさしくそれが親と子が育んできた絆としての「食」が表現しているわけです。さらに八木さんは、「食」は大人の問題だと言われ、その言葉も、しっかり自分の胸に刻み込みました。

第75回の『竹井塾』では、自分にとって良い食事という話が出て、そういう考えで「食」を見つめてこなかったな、と反省しつつ、このことを子ども達に伝えていきたいと思いました。自分自身を振り返って、良い食事をしてきたのかと問われると、やはり自信がありませんが、「家族で一緒に食べること」「みんなで一緒に食べると美味しいよ」ということは伝えてきたので、大切な活動テーマとしていきたいです。

また話には出てきていませんが、以前、柿沼住職から身土不二しんどふじということを教わり、身近に育ったものを食べ親しむことも、自分にとって良い食事ではないかと思い、これも重要なテーマとしていこうと思います。

第76回の『竹井塾』では、「最高の道徳教育は食だ」と柿沼住職、八木さんからは「食を語れない道徳はない」、渡邉教授からは以前「食は道徳を超える」(第15回~17回参照)と私たちに対して強烈なメッセージになったかと思いますが、私自身はこの言葉を強く受け止め、今後の活動にどう表現をしていくか、とても重要なキーワードになりました。

第77回の『竹井塾』では、買い物は投票活動という表現は、とても参考になりました。食材を知り、どのように育てられたかに興味をもち、そして選んで買うことで、子どもたちも、自分の体は自分の食べたもので出来ているということを実感してもらいたい。まさに買い物は、その食材に思いを寄せ自分自身を作り上げるための投票なのかもしれません。

今回、柿沼住職の長光寺で話を伺いましたが、学校帰りの小学生が長光寺にきて、今日は「これこれしたよ」と楽しそうに住職に話をして帰って行きました。また近くの農家の方といろいろな取り組みをしているそうで、地域社会の一角として長光寺が機能していることを垣間見ることができました。

それは柿沼住職の地域を思う心であって、地域の核としての寺の位置付けなどを含めたことなのでしょう。他のお寺でも、境内に井戸を掘り、災害時に地域住民の拠り所として機能させたいという話も聞きました。

お寺から学べることが多くあります。「食の学び場づくり」を目指す私たちにとって、長光寺でお話を伺うことで、とても大切なことを教えていただけたように思えます。

【博多弁の総括】

竹井 秀文

食は、人間のよさを実感できるけん
よか食育を世の中にひろげないかんばい!!

竹井塾 塾長 竹井 秀文